アーカイブ: 4月 2011

マウスガード 前歯くりぬきタイプ

マウスガードにて発音の問題があると以前に報告しました。

母音(アイオエオ)にはさほど影響はありません.

歯頚音(サシスセソ)などの発音がしにくくなります。

ある程度調整により改善できますが、「コーチング」の妨げになると競技に影響を及ぼしてしまいます。

そこで、前歯をくりぬいたタイプのスプリントを作製し、良好な結果が得られましたので紹介します。

通常のマウスガードから前歯部分をくりぬいたものです。

フルコンタクトの競技向きではありません。

あくまでも非コンタクト系の競技で、発音を重視するポジションなどにお勧めします。

フットサルの古川将士選手に作製しました。

早速練習で使用してもらいました。

以前に作った、通常タイプのものは発音しにくかったが、

今回のものは大丈夫とのこと。

試合で装着し、更なる活躍を期待しています!

投稿日: by nomura

インプラントとは

整形外科でもチタンを用いた再生手術があります。

歯科におけるインプラントとは人工歯根のこと。

失われた歯を補うための、治療手段の1つです。

現代のインプラントは、1960年台に始まりました。

基本的には純チタンが原料です。

チタンの表面に、各インプラントメーカーが独自の粗造な面をつけます。

粗造な面は、骨がインプラント表面に出来る足場となります。

骨にインプラントを埋入すると、6週から半年で骨になじみむため、かぶせ物を入れることができます。

6週から半年と期間が様々ですが、インプラントメーカーによって、骨のなじみ具合が異なります。

また、元々の骨の状態によって変わってきます。

骨の幅、高さ、骨質などにより治療期間は違うのです。

ストローマン社のインプラントの広告です。

芸術的に精巧に作られているということでしょうか。

1本1本のスレッド間隔や角度など、骨の反応を考慮しています。

木ねじとは異なり、いかに生体になじむかどうか。

また、長期的安定性を考慮して作製されています。

日本のインプラントメーカーでは、ここまで熟慮されたものは出来ないと思います。

投稿日: by nomura

骨粗鬆症のおくすりについて

骨粗しょう症と診断されて、お医者さんでお薬をもらっている患者さんが多くいます。

ビスフォスフォネート製剤(以下BP製剤)というお薬があります。

我々歯科医師にとって大変厄介なお薬なので、説明します。

BP製剤は簡単に言うと骨を硬くし、骨折を予防したり、癌の進行を止めるお薬です。

骨は常に骨を増やす細胞と骨を溶かす細胞が働いていてバランスをとっています。

BP製剤はこの代謝機能をストップさせることで、骨をカチカチにしてしまうというお薬なのです。

さて、どうして歯科医院でBP製剤が厄介な薬なのでしょうか。

我々歯科医師は、お口の中の歯や骨をケアする仕事のため、骨の代謝がなくなると困ります。

また、傷が治らず、骨が壊死することがあります。

もっと困ったことに、壊死した場合、治療方法がないということです。

例えば、歯を抜いた後に骨の代謝がないと、傷がふさがらず、骨が壊死することがあります。

歯槽のうろうは、ばい菌で骨が減っていく病気ですが、治療の際、骨に触る治療があります。

歯槽のうろうの手術が出来なくなります。

インプラント手術は骨に人工の歯根を植える手術です。

BP製剤を飲んでいる方のインプラント治療は禁忌です。

骨折を予防することにより延命につながる薬ですが、

歯科の分野で起こる合併症について、お医者さんはどれだけ理解しているか大変疑問です。

なぜなら、当院に来院する患者さんのほとんどがBP製剤の副作用について知らないからです。

薬を処方する際に副作用についての説明をしていないということです。

日本口腔外科学会の指針では、3年以上内服にている場合は、3ヶ月以上内服を中止してから抜歯をすることになりました。

すぐに治療が必要でも治療を待ってもらうことになります。

投稿日: by nomura

心臓病とむし歯

心臓病の人は、むし歯や歯周炎に注意しましょう。

むし歯や歯周病の病原菌は、お口の傷から体に入ります。

静脈を伝って心臓に達すると、心臓病が悪化することが分かっています。

感染性心内膜炎という病気をひきおこした場合、

ハイリスク患者は死亡率が高いといわれています。

心内膜炎を防ぐため、歯科治療前に抗生剤を予防投与します。

・人工弁置換患者
・感染性心内膜炎の既往がある患者
・複雑性チアノーゼ性先天性心疾患
・体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者
・弁膜症
・閉塞性肥大型心筋症
・弁逆流を伴う僧帽弁逸脱
・人工ぺースメーカーあるいはICD植え込み患者
・長期にわたる中心静脈カテーテル留置患者

以上の患者に対し、抗生剤予防投与をします。

歯石をとる治療でも予防します。

基本的に少しでも出血するような治療は、予防します。

投稿日: by nomura

フットサル用マウスガード

フットサル選手、サッカー選手にマウスガードを普及させたいと願っています。

第1に怪我予防。第2にパフォーマンスの向上を目的とします。

古川将士フットサルコーチ兼選手にマウスガードを作成しました。

前歯くりぬきタイプで作成してみました。

コーチングと言って、指示を声に出すことが多いそうです。

最初に、通常のタイプのマウスガードを作成しましたが、発音しにくいとのことでした。

しかし、つけない時よりも力は出るとのこと。

握力測定では、有意に装着後にアップしました。

今回は前歯をくりぬいたため、少しは発音しやすいと思います。

試合で使用してもらえるまで調整です。

前歯はくりぬいてあるため、見た感じは通常です。

投稿日: by nomura

ボーンレベルインプラント講演会

今日はインプラントの講演会。

当院で使用しているストローマン社(スイス)の新しいタイプのインプラントの話を聞きに行きました。

しかし、欧米では数年前より販売されていたもの。

日本は薬事審査が大変厳しいため、新製品は遅れてしまいます。

歯科では命にかかわる事が少ないのですが、医科では命がかかっている場合、

数年のズレは致命的です。

欧米人で安全なものでも、アジアンにおいて安全でない薬があるのは確かです。

厚労省の考えはもっともですが、もう少し早くできないのでしょうか?

今回販売された「ボーンレベルインプラント」は骨吸収が少なく、特に前歯部において大変有効なインプラントです。

早速使用したいと思います。

投稿日: by nomura

金曜練習

昨日はフットサルの練習。

サッカーは小学2年から高校までやっていました。

しかし、20年以上ボールに触れず、Jリーグ開幕の喧騒も、

同期、後輩のJリーグデビューも無視し、

日本、ワールドカップ初出場時、ようやく「昔サッカーやってたっけ?」と思い出す始末。

子供が少年サッカーチームに入ると、見ているよりもプレーしたいとの気持ちが・・・。

行きつけの床屋さんが作った、チーム練習に参加させてもらったのがきっかけ。

ブランクは埋めようがありません。

よく足元つまずくし、心肺は悲鳴をあげます。

でもサッカーしていると、ほかのスポーツではない充実感があるんです。

世界共通の何かがあるんだと思います。

古川コーチに、スクールでのフットサル検定1級合格祝いをいただきました。

高橋陽一先生のサイン色紙です。

古川コーチ、高橋陽一先生。感謝です。

投稿日: by nomura

顎関節症とかみ合わせは関係があるのでしょうか?

「顎関節症」と「かみ合わせから引き起こされる病気」は同義ではありません。

顎関節学会ではこのように解釈されています。

私も個人的にはこの考えを支持します。

基本的に正しいのですが、例外はあります。

先月来院された顎関節症の患者さん。

顎が痛いと来院されました。

診断は顎関節症Ⅰ型。すなわち咀嚼筋障害を主徴候としたもの。

左側の顎関節疼痛。肩こり、耳鳴り、頭痛など不定愁訴がありました。

咬合診査をしたところ、右側が全く咬合していません。インプラントも入っていましたが、上下の歯は目で見ても隙間がありました。

右に即席の仮歯をつくり、左右均等に噛めるようにしました。

次回の来院時には、長年の頭痛、肩こり、耳鳴りが嘘のように消失しました。

かみ合わせの左右のバランスが極端に悪いと顎関節に負担をかけるのは当然のことです。

しかし、前医での治療において、かみ合わせを無視して作ったのでしょうか?

おそらく、その時は顎関節の状態、筋の緊張状態などの要因で、その位置で噛んでいたのだと思います。

顎関節症の難症例ではそのようなことが起こりえます。

慎重に経過を観察しながら仮歯から、最終の歯に移行する必要があるのです。

「症状が良くなった」と手放しで喜ぶのは早いと思っています。

投稿日: by nomura

歯周病原菌について

嫌気性菌といって、酸素がなくても繁殖する細菌が原因菌です。

お口の中には300種類以上の口腔内常在菌が存在します。

その中で特に悪さをする細菌がいます。

グラム陰性嫌気性細菌です。

しかし、細菌単独では歯周病を発症しません。

発症のための条件 (Greenstein 1999) として、

・バクテリアの十分な毒性

・バクテリアの量が十分

・宿主(人間)の免疫反応に打ち勝つ

・宿主の感受性

以上の条件があるそうです。

投稿日: by nomura

Evidence Based Medicine

情報が氾濫する中、何が正しい知識なのかわからずに困っている方が多いのではないでしょうか?

私たちはEBMに則った治療をおこなっています。

EBMとはEvidence Based Medicineの略です。

すなわち科学的根拠に基づいた医療のことです。

EBMに従うことにより、情報を整理できるのです。

日ごろの診療での気づきなどを綴ってみたいと思います。

投稿日: by nomura